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土佐食彩物語

新商品開発物語「自社の強みと特徴を活かした商品開発への取り組み」[中央物産(株)]

久万やす

中央物産(株)とは、本場土佐の生鰹のたたきやオリジナル海産加工品の製造直売と土佐の特産品の通信販売を手がけて25年になる老舗。中央物産(株)部長、そしてネットショップたたき工房の店長である久万やすさんにお話を聞きました。
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「お客様の声」を取り入れた新商品の開発

本鰹たたき藁焼き匠食べきりサイズ

本鰹たたき藁焼き匠食べきりサイズ

 実は長い間、商品開発はしていませんでした。^ ^;
発売以来今日までの長い間、当社の商品の中で最も人気があって、しかも売れ筋・売上ともにナンバーワンの生かつおのたたきセット(「本鰹たたき」)に長い間たより切って、これ一本でやって来たんです。  新しい商品開発を思い立ったのは、ここ数年間の不況のために、幸か不幸か、商品の見直しや分析をした結果、マンネリ状態でほとんど20数年の間、ほとんど代わり映えのしない自社の商品郡と真正面から向き合う切っ掛けを得たからなんです。

 たとえば、新商品を作るとき、私どのもようなメーカーが一番重要視するのはお客さんの意見であり、クレームを含むお客様からのアンケートの内容ですが、当社はまずお客さまの意見を取り入れる為に、商品をお届けする祭には必ず商品と一緒にアンケート用紙をお付けしています。お客様の声を聞くのは本当に大切なことです。私たち生産者が思いもつかないような貴重な意見をお客様は提供してくれます。
 例えば、当社の主力商品である本鰹たたき藁焼き匠の場合、「量が多くて食べきれない」「もっと小さなサイズはないの?」などの声を聞くようになりました。
これは各家庭の小家族化が進み、これまでの容量では一度に食べきれない方が多くなったようです。

 これらご意見をもとに開発をしたのが新商品の「本鰹たたき藁焼き匠(食べきりサイズ)」です。従来からの製品(一節のたたき)を腹部と尾部を真二つにし 個々に真空パックした商品です。
 かつおの身は繊細で、空気に触れるとたちまち変色し鮮度が落ちてしまいますが、一度に食べきれるサイズであれば、時間をおいて色の変わった残ったたたきを無理して食べることもなく、常に鮮度がよく、本当においしい状態で食せます。
 蓄えてきたアンケートのご意見が時代のニーズとマッチして、今回の新商品にほぼ生かされています。そのためか、大変ご好評をいただいております。

「これまでにない」新商品の開発

土佐の海薫シリーズ「かつおくん」

土佐の海薫シリーズ「かつおくん」

 社内ではこれまでと全く流れの異なる新商品を作る意識が常にありました。そんな中、ちょうど高知県の「平成15年度 土佐のいいもの・おいしいものコンクール」という地場産品コンテストが行われるを知り、これを機会に社内に新商品開発委員会を発足。本格的にこれまでにない新商品開発がスタートしました。
目標はもちろん大賞のみです。新商品のコンセプトを勉強する為、県外に飛んだりと、本当にゼロからのスタートです。
 少人数ながら新商品開発委員会でいろいろなアイディアを出し合いました。土佐の人間なのでお酒が大好き。だったらお酒のおつまみ「お酒を飲んでるときにこんなおつまみがあったらいい」という発想でアイディアをつめて、最終的に「鰹の燻製生ハム」に絞られました。
 しかし、当社は魚屋であってハム作りなど技術は全くわからず悩む日々でした。
 でも、どうしてもこの商品を形にしたい!委員会のみならず、全社の想いは同じで、わからなければ聞けばいいの精神で情報収集が始まりました。
 工業技術センターや知人・友人といろいろなところに出向き、生ハム作りには何が必要でどうすればいいのか研究し、手探りで何とか試作までたどり着きました。
 しかし想像した「味」「色」がまったく出せず。何度試作品を作って食べたことか…。
 生ハムはメロンと合わせて食べるように辛い物(塩分)が多いですが、単体で食べても美味しいように、かつおくんの場合、室戸の海洋深層水の塩で水抜きをしさらに無塩海洋深層水で塩抜きをしてまろやかな味になるようひと手間かけています。
 特にかつおの「色」に関しては変化が早いので大変苦労しました。鰹の赤身は時間が経過したり、熱を加えるとすぐに黒ずんだり、硬くなったりして、見栄えが悪くなってしまいます。スライスして薄く並べるタイプの鰹の生ハムなので赤身にはこだわりがありましたが、試行錯誤を繰返しながら何とか納得のいく色と味を再現できやっと完成。
 「土佐のいい物おいしい物発見コンクール」が締め切り間近だったのでパッケージはプリンターで印刷しホッチキスでとめた仮のものでした。

写真2

 スタートからおよそ一年、通常業務のかたわらで開発した商品でしたが、結果みごと「大賞」を受賞しました。
 みんなで頑張って開発した苦労が報われました。

 しかし、ここで満足もしておられず、魚の生ハムなら鰹だけにこだわらないで「他の魚で燻製生ハムを作ってみたらどうだろう」という冒険心から燻製生ハムを土佐の海燻シリーズとしてシリーズ化しました。 大賞をとったかつおくん、そして新たにはげくん」「まぐろくん」「きんめくん」「くじらくん」「びんとろくんを開発しました。

 その後、新たなる問題が発生。「土佐の海薫シリーズ」を流通に乗せるとした場合、「長期保存が出来ない」「色が変わってしまう」など生鮮ものとしての問題が起ってしまい、常温では扱えず、冷凍保存での販売になりました。ということは冷凍ケースをもっているお店でしか取扱いできません。わたしどもは「海薫シリーズ」を物産店などで販売したいというこだわりもあり、開発したものの売り先が少なく、新たなる新商品の開発が急がれます。
 [現在、海薫(うみくん)シリーズは、高知空港高知駅キヨスクで取扱っています]

「常温保存可能」な新商品の開発

本鰹ジャーキーはらんぼー

本鰹ジャーキーはらんぼー

 もっともっと常温で流通のできる美味しい新製品を開発するため新たに新商品開発委員会を立ち上げ、アイディアを出す毎日。お酒の肴になる製品というテーマはそのままに常温保存可能で、しかも薫製生ハムのノウハウを活かした製品。悩んだ結果「本鰹ジャーキー」に決まりました。
 [最終的には私の好みで決めています(^▽^)]

 美味しさを追求して、「生の鰹のはらんぼ」を使用。はらんぼとは、鰹の腹の最も脂ののった部分のことで、マグロでいうなら「トロ」にあたる部分です。一匹の鰹からほんの少ししかとれない貴重なところです。中央物産では生のタタキを加工しているので、当然生のはらんぼがとれるのです。冷凍のはらんぼは縮んでいて小さく味もおちてしまいますが、生の素材を使うことにより、ボリュームがあって鮮度のある美味しい薫製を作ることができるのです。他社がまねするには難しい、当社ならではの素材を活かした商品に仕上がるのでは!?前回の新商品開発の時と同様にスタッフみんなが納得するまで試作を何度もつくりなおしました。
 形は食べやすい棒状にカット、味には酒盗を少し混ぜてひと手間かけています。そうすることによって味に深味さをだすことができました。

本鰹ジャーキーはらんぼー

 そしてついに発売。商品名は本鰹ジャーキーはらんぼー。常温で保存可能な商品が流通しました。現在、流通経路を増やすして商品を広めています。
 食していただいた方には、非常に喜ばれ、業務用などの依頼もありました。
 しかし、このジャーキーは、はらんぼを使用しているため大量生産が出来ないのです。一匹からほんの少ししかとれない部分を加工しているので生産できる数が限られているのです。
 本鰹ジャーキーはらんぼーもお客様の声を取り入れて生産量・価格・パッケージを見直しながら、次の新商品につなげようと考えています。

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