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 高知の伝統こだわり物語 素朴な高知のお菓子の伝統とニーズ[(株)南国製菓]

中条洋仁氏

(株)南国製菓では、昭和41年に創業以来、「自然・田舎・健康」を基本理念に、現在の主流商品となっている芋ケンピをはじめ素朴な田舎の良さと質にこだわったお菓子造りをおこなっております。
今回は専務取締役の中条洋仁氏にお話をうかがってきました。

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大きな水車が目印の“水車亭”

大きな水車が目印の“水車亭”

四万十町(旧:窪川町)にある工場のすぐ近くには、高知では、「おんちゃ~ん!おいしいお菓子がたべた~い。」というテレビCMでもお馴染みとなっております“水車亭(みずぐるまや)”という製造直販店があります。
こちらは高知市中心部からは車で80分くらい西になりますが、できたての品を求めてわざわざ足を運んでくださるお客様も多くいらっしゃいます。
最近は道路交通事情も良くなってきたとはいえ、もちろんコンビニに行く距離ではありませんので、四万十町方面へお仕事やプライベートでおこしになる方は、近所や職場などで頻繁に頼まれるらしく、お1人でいくつも買って帰られる方がいます。多い人は20個くらい買って頂いたこともあります。

おんちゃ~ん!シリーズ

さて、ローカルネタですいませんが、地元高知では有名な「おんちゃんシリーズ」のテレビCMは、実は私が考えてつくってもらったんです。「おんちゃん」というのは、高知では身内や他人にかかわらず、おじさんのことを親しみをこめて呼ぶときの言い方なのですが、ある時、水車亭のCMをつくることになったものの、広告代理店に依頼すると経費がかかるので、あまり経費をかけずにつくるために結局自分で企画を思考していたところ、たまたま自分の姪が四万十町の家に「おんちゃ~ん!」と言うて遊びに来たんです。それで「これや(これだ)!!」と思ったんです。
高知ではこのような風景は、どこにでもあることだし、けっして気取らず田舎の素朴さがあって社風にも合うし、それを背伸びをせずに表現できるんじゃないかと思いました。そして結果的にもおかげさまで評判もよく、どこにでもあるような親しみ感が出たのが、地元の方の印象に残ったようです。
この「おんちゃ~ん!」ではじまるCMは、1作目の評判もさることながら今では次々とシリーズ化して新たな商品を紹介しています。ちなみに4月と秋口に紹介する商品は決めていますが、実はネタが減ってきてその次は何を出そうかと悩んだりしているんです。

南国製菓のおこり

店内 右側には芋けんぴの山が

店内 右側には芋けんぴの山が

祖母が戦後直後、地元四万十町(旧:窪川町)の農家からお米や農作物を高知市へ持って行き、着物やお菓子に替えて戻り、それをまた地元で売った事が商売としての始まりだったようです。
製造業としては、昭和41年に父がとうもろこしのパフやポップコーンの製造を始めたことがはじまりです。全国の大手量販の流通に卸していました。商品数も増えていきました。
「株式会社南国製菓」の社名は、大阪の万博が開催されたとき、出店するために「南国製菓」という名前をつけました。
本社は四万十町(旧:窪川町)にありますが、当時高知の知名度はそんなに高くなく、更にその内の町名となるとなかなか何処のお店かわかってもらえにくいと思い、当時、ペギー葉山さんの「南国土佐をあとにして」という歌がはやっていたので、そこからあやかって「南国製菓」という名前にしました。
お菓子造りをしている工場からは常に甘い香りがしていて、それに誘われた付近の方が、手にカゴなどを持ち「ちょっと、分けてくれんかねぇ!(すこし、わけてくれませんか)」と来られるので、当時は手作業ということもあり「ちょっと、待ちよってね(少し、待っていてね)。」と言っては、そのままドサっとカゴに入れて安く分けていました。
その後、工場の製造ラインは徐々に機械が入り自動化と共に工場も大きくなり、衛生的な面でも管理が厳しくなってきたのでそれまでのように売ってあげることが難しくなりました。そこで、工場の前にある事務所の前(1坪くらいの所)にビニル袋にガバっと入れて売るようになりました。そうした所がありがたい事に買いに来られるお客様がだんだんと多くなっていきました。 販売員はいなかったので、事務員さんが業務の片手間に対応をしていたのですが、本業の出荷業務や営業が出来なくなるくらいそれだけで手一杯になり、とうとうお店を構えよう!ということになり、製造直販店として平成5年8月7日にオープンしました。
南国製菓では芋ケンピの原料となる芋は、以前は高知県の土佐清水市や地元の窪川町(現:四万十町)のものを使用していました。当時はたくさん収穫がありましたが、だんだんと収穫量が減少してきたので、現在は高知県土佐清水市と宮崎県の契約農家から仕入れています。

「芋けんぴ」って何?

芋けんぴ中身

芋けんぴ中身

 遅ればせながら、高知の人はみんな知っている「芋けんぴ」ですが、県外の方は聞き馴染みのない方も多いようですので、紹介します。 「芋けんぴ」は、さつま芋を細長く切り、油であげ、砂糖をまぶしたシンプルなお菓子です。県外ではかりんとうと呼ぶようですが、高知では「芋けんぴ」と「かりんとう」は別物と区別されます。
芋けんぴは高知県の安芸の方が作り始めたそうで、この方は、「この呼び名は高知県の人だったら使っても良いよ。」という寛大な方のおかげで、高知県下のメーカーは「芋けんぴ」という名称で製品化することが出来ています。
県外でも同じような製品は見かけますが、高知の「芋けんぴ」には伝統の製法があります。芋の揚げ方なんですが、ポキっと折ったときの断面がアンスといって、空洞のようになっていないといけません。いっけん食感が硬そうに見えますが、こうすることでポキポキとやわらかく折れるので、あとをひくのだとおもいます。

伝統と現代のニーズ 海洋深層水仕込み 塩っからい!甘い!

当店の芋けんぴの特徴は、現代の甘すぎない嗜好に合うよう、できるだけ砂糖は少なくアレンジしています。昔は真っ白いくらいにボッタリと砂糖をつけていましたが、現代のニーズに合わせて改良しました。
水車亭では2年くらい前から、「海洋深層水仕込みの芋けんぴ」を試験的に販売しており、本格的に販売してブレイクしたのは去年からです。
開発するに至ったのは一つ気になることがあったからですが、それは現代のニーズとしては軟らかいものを好む傾向があるなぁということです。たとえば、母が大好きな黒棒やオカキといったわりと硬めのお菓子は、年齢と共に歯が悪くなり食べにくくなってきていますし、また、幼い子供たちもスナック菓子に代表されるやわらかいものが好きだからです。当店の「芋けんぴ」はやわらかいと言ってもかりんとうの種類ですから、なんとか伝統の芋けんぴを現代のニーズにあうものにしたいと試行錯誤してつくり上げたのです。
伝統の揚げ方はそのまま活かして、なんとかやわらかくするにはどうすればいいのかと考えついたのが、「さらに細切りにしてみよう!」でした。シンプルな事ですが実際に細くしてみるとて、同じ製法でも歯ごたえはやさしくなったので目的はクリアできました。しかし、職人としてはまだまだ欲が出るもので「どうせ見た目を変えたのだから、味も新しいものにしよう!!」と思い、チャレンジした味が海洋深層水の塩味でした。 考えてみると日ごろスイカなど甘味を引き出すために塩をかけて食べたことがあると思いますが、舌の感覚を変えて、より甘味を感じさせるようなこの効果を利用したんです。 すると同じ甘い味でも、これまでとは異なった表現になりこれがわりといけるなぁ!と思ったんです。
そして、評判のほうはおかげさまで良く、食べた事のない人にとってはすんなりと受け入れられており、反対に以前に「芋けんぴ」を食べた事がある人にとっては、脳が記憶している甘さと違うので、びっくりするようです。なので、新しいお客様もできましたし、これまでのお客様も比較しつつも好みを見直されたり、尚一層のご愛顧をいただけるようになりました。
水車亭では芋けんぴの他にも様々な商品を取り扱っています。 南国製菓のネット販売はこちら≫
わたしたちのお菓子は、何処にでもあって便利な品物も良いでしょうが、素朴な田舎の良さを活かし、安心で安全な質の良い物、そしてここにしかないお菓子作りをしてきました。創業してから40年になります。時代によっては流行のお菓子も出てきますが、私たちのお菓子作りは伝統をまもりつつ、時代のニーズに合ったものを提供していき続ければと思っています。

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