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製品追求物語「努力が育てた室戸の塩」[室戸海洋深層水株式会社]:室戸海洋深層水、塩の製造、販売(高知県室戸市)

代表取締役 住田 孝平 社長

代表取締役
住田 孝平 社長

今回お話を伺ったのは、室戸海洋深層水 株式会社 代表取締役社長 住田孝平さんと、代表取締役専務 小松静雄さんです。
室戸海洋深層水(株)は、雄大な太平洋を望む高知県の東端に位置する室戸市にあります。室戸市では、昔から海とのつながりを大切にしており、古くは古代捕鯨遠洋漁業の町として世間にその名を知られてまいりました。現在は、室戸海洋深層水の町として脚光を浴びるようになり、室戸に生まれ育った人間として、この自然の恵みを室戸の財産として恒久的な財産として後世に継承したいと考えているようです。
そもそも「私達の体の70~80%は、水でできている」と言われています。毎日飲んでいる水は、私達の在り方そのものを左右すると言っても過言ではなく、もちろん、お塩も人間にとって欠かすことのできない大切な食品のひとつです。
室戸海洋深層水(株)では、この室戸の自然が育んだ海のミネラルを100%原材料として、水と塩を作り出しています。そして、それらを天然の恵みとしてとらえ、より安全により安心して使用していただける様、品質のよい商品づくりを心がけるとともに、皆々様に可愛がっていただけるよう、新商品の開発や製造にかかる時間短縮など、研究に努力されているようです。

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室戸沖より取水する海洋深層水に、こだわってます!

室戸海洋深層水(株)は、平成10年2月に設立しました。事業内容としては主に、高知県室戸沖で取水した海洋深層水を100%材料として、清涼飲料水や食品添加物、自然塩、ニガリ、濃縮海水の製造・販売、および海洋深層塩を材料とした製品や健康食品の開発と製造・販売をしております。
「海洋深層水」について、詳しくは室戸海洋深層水(株)のHPをご覧ください。
私たちは、この海洋深層水を100%原材料とすることにこだわって様々な製品の開発とその研究をしております。当社は、もともと塩を製造するために設立されました。

製造時間の短縮に5年を費やしました!

製造時間の短縮に5年を費やしました!

従来、海水から塩やにがりを取る製造方法は、「ネットかん水」といってシャワーで海水を循環させながら太陽の熱と風をあてて、水分を蒸発させていくという方式で約1ヶ月かけて塩分濃度の濃い海水にしていき、それを更に約1週間程度かけて釜で炊いて塩を採取するというスタンスと、もう一つは、敷地内にあるハウスで完全な天日塩を採取するというスタンスの2方式で製造しておりました。当時はこのようなスタンスが普通としたものでした。しかし、塩など製品になるまで、このような方法では、とにかく時間がかかるので何とかならないものかと研究をすることになりました。

平成15年より、製造時間の短縮をめざした新しい製造方式の研究がはじまりました。平成16~17年には高知工科大学の研究センターと共同で経済産業省の委託事業で新しい実験装置を作ることなり、その装置はなんと約2年の間に完成させることが出来ました。しかし、その装置に実際に海水を通して製造してみると困ったことがありました。それは、海水に含まれる「カルシウム(Ca)」と「硫酸イオン(SO4)」がくっついて一つの物質となった成分「硫酸カルシウム(CaSO4)」というミネラルがあるのですが、この成分が製造過程のある一定の濃度に達すると、塩分より先に現れて、装置の内部に石膏として付着してしまうのです。

そこで、これを回避する策として、当時は装置を通す前に充分硫酸カルシウムを析出させ、上澄み液をとり除いた海水にしてから、装置に通すという方法で塩を製造してみました。できた塩は自然塩ですので、とても美味しいのですが、先に硫酸カルシウムを取り除いているので、ミネラル成分であるカルシウムが減少していました。また硫酸カルシウムはたいへん水に溶けにくい成分なので、調理などに使用した際にも、その成分は溶解しきれずに残ってしまい食味を落とすということがわかったのです。

そのため製品装置が完成した後も、硫酸イオンを取り除くことが出来ないものかと、このような問題を解決すべく研究は続きました。平成17~18年と経済産業省の中小企業ベンチャー事業を導入し、研究した末、なんとか問題を解決することができ、硫酸イオンのみを除去する装置が完成に至りました!
そして、いざこの装置を会社に導入しようと思い、見積もりをとってみたのですが、残念ながら、とても採算の見合う額ではなかったので、その時は購入することを見送りました。
けれどもあきらめる訳にもいかず、現状に維持している製造装置に硫酸イオンを取り除く部分の装置を組み込めば良いのではないかと思いつき、地元の鉄工所に協力してもらい、自分たちで装置をつくり上げることにいたりましした。すると費用はその見積りの20分の1程度でおさまり、現在ではこの装置が主体となって製品を作っております。

美味しい「塩」

塩と言っても、辛い塩や苦い塩などその味わいは様々にあります。その中でも美味しい塩というのは、塩分濃度の87%くらいがナトリウム成分で、他13%くらいがその他のミネラル成分であるのが適当といわれております。またミネラル成分には、カルシウム、マグネシウム、カリウムが含有しており、特にその中のカルシウムとマグネシウムのバランスが1:3の割合であれば美味しいとされています。
硫酸イオン除去装置が完成する前は「にがり」についても同様で、それ以前の製塩技術では、硫酸イオンを排除する際にカルシウムもほとんど除かれていました。だから、その塩水から製塩した後に残る液体は、つまり「にがり」にも、ほぼカルシウムは残っておらず、それどころか、逆に除去したはずの不要な硫酸イオンが、実に5%程度も含有していたほどでした。
私たちの開発した装置は、完成するまでには、何度も装置を稼働して、正しい成分結果が得られる装置なのかデータの収集も厳重に行いました。そして、ようやく平成19年に完成したのです。完成してからは、この装置のおかげで、自然の海水中のミネラル成分比であるカルシウム1に対して、マグネシウムは3の割合を壊すことなく、もちろんも後から足したりすることなく、製品をつくることができるようになりました。

「お豆腐」が心配でした!

硫酸イオンのみを除去できるようになると、カルシウムの含有量は原水に含まれる量のままになります。したがって、これまで豆腐メーカーに販売していた「にがり」に比べると、あきらかにカルシウム含有量が増えてます。これにより、お豆腐はそもそも従来通り固まってくれるのか?!味は?!と、とても心配しました。そこで、豆腐メーカーにこの「にがり」を使って豆腐を試作してもらいました。すると、まったく問題なく仕上がり、また味も良いとの事でした。ほっとしたことでした。

新商品「室戸濃縮海水24」!

当社の新商品で、「塩」と「にがり」になる前の状態の濃縮海水を製品にした「室戸濃縮海水24」があります。これは、上に話したように硫酸イオンを除去し、海のミネラルバランスをそのままに、ただ塩分濃度が24%という云わば室戸海洋深層水の「8倍濃縮液」です。使用方法は、塩分濃度が24%あるので、水で3.4%~3.5%まで希釈(8倍に薄める)します。そして用途としては熱帯魚や活魚、海水魚貝類の飼育など、水槽に入れる海水としてご利用いただけます。
海水を8倍に濃縮しているようなものなので、同じ海水を貯蔵するより、保管場所も8分の1で済みますし、塩分濃度も24%と高いため、ほぼ腐敗する心配もありません。(※冷蔵保管すると一部成分が結晶化し、沈殿することがありますが、また混ぜていただくことで溶けます。)例えば、平成21年の9月頃より、高知県工業技術センターでは、ロビーなどの水槽にこの製品を海水として入れて、海水魚やマイゴといった貝を入れて飼育しています。
一般的には「人口海水」という水に溶かして使用する塩がありますが、これはそれよりも水槽の中の生物に対しては、ミネラルバランスなど自然の海に限りなく近いものを与えてあげられるのではないでしょうか。一般家庭向きでもあるといえます。

農業に活用!「室戸海洋深層水濃縮ミネラル液」!

現在、高知県の室戸市吉良川町と長岡郡本山町でつくられている米農家が、当社の「室戸海洋深層水濃縮ミネラル液」いわゆる「にがり」を使って生産したお米が美味しいと評判を得ています。これは弊社と、ここ3年ほど共同開発をしており、田んぼに「にがり」をまくのです。少々おどろく方もいるかもしれませんが、少々塩分が田んぼに入っても、米やトマトなど塩分に強い野菜で、むしろ、美味しくなる野菜があります。その特性を活かして開発した一つが、このお米になります。
このような研究は、もともと平成13年よりまずは3年間にわたり、高知市春野町の農家から始めました。トマトやきゅうり、生姜の生産に当社の「ディープパワー1号・2号(室戸海洋深層水濃縮ミネラル液)」を使いました。その後は土佐市でメロンとピーマンにも試したのですが、どれも結果が良く、その用途は現在も農作物のミネラル補給として使用されているのです。この製品の成分表を見た時、私は「これは農業にも使えるはず!!」と思ったのがきっかけでした。
またこちらの製品については、作物の液肥や農薬などと混ぜてご利用いただいてかまいませんので、まだ使用したことのない方でも、普段の農作業の一つに追加してみてはいかがでしょうか。原液のままですと大変塩分濃度が高いので、用途によってその濃度を調整する必要があります。

私たちはブームに目もくれず、研究・開発しています!

私たちはブームに目もくれず、研究・開発しています!

今後の研究として、塩分濃度の高いものは殺菌効果があがるといわれており、腐敗やカビなどの発生を抑制する効用があります。そのため、私たちが開発している製品は、ナトリウム、マグネシウムといったミネラル成分による植物活性剤としてだけではなく、塩分濃度の高い特徴を活かして、無農薬栽培でおこる農作物のカビ菌による病気やダニなど、殺菌・殺虫といった効用があるのではないかと考えております。しかし、実際はその濃度調節をしないと、逆に作物に被害を出すことも懸念されますので、正確なデータを取って、どのように活かせるものなのか益々研究していきたいと思っています。
今後は、ますます農業など、活躍できる場がある商品にしていきたいと考えています。農作物で成果を出すには、実際にその成長に合わせたスピードでしか研究できないので、これまた時間がかかるかもしれませんが、地球エコに関する取り組みの一つとして、または自然環境の保全、無農薬栽培や食品衛生に関する安心と安全に貢献できるよう、取り組んでいきたいと思っています。

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