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土佐食彩物語

天然素材で勝負する、高知の老舗物語「土佐の鰹節屋」森田鰹節株式会社:鰹節・出汁製品の製造(高知県高知市)

代表取締役 川村宗利 社長

今回は、土佐の鰹節店の代名詞といっても過言ではない、カネヒコ森田でお馴染みの森田鰹節店。高知の地場産品でもある鰹節の専門店として60余年。全国の大手企業が連なる削り節業界のなかで、素材と丁寧な仕事、そして地場産品にこだわりを持ち、鰹節と日本料理の心である出汁製品を全国展開する老舗です。

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愛されて60余年!鰹節のカネヒコモリタ

愛されて60余年!鰹節のカネヒコモリタ

創業は1943年、この“カネヒコ”の由来は、先代のカツヒコから名づけられました。カツヒコのヒコとカネを合わせて「カネヒコ」です。昔は、市場で呼びやすさから、どこの店にもこのような呼び名がありました。例えばヤマキ(キの上に山の記号)や、マルトモなどもありますね。このような呼び名も少なくなり、当社も「土佐の鰹節屋・森田鰹節」が主流になってきましたね。

愛されて60余年!鰹節のカネヒコモリタ

さて、創業当初は、先代カツヒコが菜園場町で、 鰹節に関わらず、いろいろな食品の卸を営んでいたようです。二代目である私が生まれた頃に鰹節専門店として基盤ができたと聞いております。その後、 卸団地で移転し、現在に至っています。

シンプルな工程だからこそ本物を追究、素材選びに妥協なし

シンプルな工程だからこそ本物を追究、素材選びに妥協なし

削り節というのは、大変個性の出しづらい商品です。高知県の人は、豆腐にかけたり、しょうゆをたらしたりと、そのまま食べる方もおりますが、県外では「鰹の削り節=出汁」が一般的です。そして、本当に出汁の味を語ることができるのは、よっぽどの方でしょう。私どものお客様には、鰹節にこだわる大阪のお好み焼き店などもおりますが、一番は一般家庭のお客様です。
もちろん、味に関しては、社内で吟味に吟味を重ねており、自信をもって営業マンが販売しておりますので、 当然当社の鰹節が一番おいしいのですが、どこで区別化するかと申しますとやはり、安心、安全です。

シンプルな工程だからこそ本物を追究、素材選びに妥協なし

当社の製品は天然素材のみしか扱っておりませんので、安心安全は当然です。最近はお客様の健康意識も高くなり、添加物のダシを使われていた方も、国産の無添加を選ぶようになっています。味覚面から見ても、添加物は飽きがきますが、天然の出汁は毎日食べても飽きがこないものですから。
さらに、小さな店だからこそ良質の鰹を仕入れられるのも功を奏しています。大手企業は、仕入れ量も多いので、どうしても品質を下げて安く売るというシステムになっています。素材の図式と言うのは、樽型になっています。大手企業は、もっとも量が多い真ん中あたりの素材を仕入れます。当社の仕入れは、その上側の良い素材を仕入れていますので…。そこが違いといえば違いではないでしょうか。
もちろん、削り方などもありますが、これは企業秘密にしておきましょう。

勝負は出汁をとってから!ヒット商品「花かつお100g」と「だし名人」

当社では基本的に削り節の「花かつお」と「削り節のパック」、だし系で展開しています。日本人にとって馴染み深い削り節ですが、核家族化などに伴い、お客様のご要望が多様化しました。一つの商品でも、いろいろな容量がありますので、商品は増える一方です(笑)。おそらく50種類?いや、それ以上かもしれませんね。

一つおもしろい話があります。花かつおの100gというのは、当社が最初に作りました。スーパーで見て頂ければわかりますが、削り節は80gとか24gとかが主流なのです。一人前を10gと考えると100gの方が計算しやすい。それで100gの商品を作ってみたら、それが一番売れるようになったのです。

勝負は出汁をとってから!ヒット商品「花かつお100g」と「だし名人」

もう一つの人気商品が「だし名人」というだしパックです。これも一人前が一個、二人前なら二個を入れるので、わかりやすいのも良く売れる理由の一つだと思っています。半分冗談みたいな本当の話です。
当社の出汁についての逸話とすれば、お客様から「うちの猫の食いつき違う」とお褒めの言葉を頂くことが多いです。こちらは苦笑するしかありませんよね(笑)。それから、「味噌汁の具しか食べなかった子どもが、汁まで飲んでくれて驚いた」という出来事もありました。そのお宅では化学調味料の出汁を使われていたそうで「それは違うでしょうね」と話したことです。子どもはとても味覚が敏感です。そして猫や子どもは、うそをつきませんからね…。品質が良いものは、やはり良いだしがでます。悪いものは脂臭かったり、にごったりします。当社の商品は無添加の品質勝負。すっきりした後味と、香り、風味、コクをお楽しみいただければと思います。

地産外商に一役 めじか節で全国展開を

地産外商に一役 めじか節で全国展開を

土佐清水産の宗田鰹は全国生産の約6割を超える日本一の産地です。当社で扱っている宗田鰹(土佐での呼び名は、めじか)は、一本釣りで獲れたものです。網獲れは、魚が傷つき鮮度が急速に落ちやすいので良節に仕上がりません。
一方、土佐清水近海、一本釣りで獲れた魚は日戻りで鮮度も抜群、漁港近くの工場で熟練の職人が手際よく一本、一本、丁寧にさばき、宗田節に仕上げています。新鮮で水揚げ後直後に製造することにより、旨み成分(イノシン酸)も多く含まれています。コクと旨みのバランスとあっさりとした後口が特徴で、うどんやそばの出汁に重宝されています。
このめじか節は、今まで業務用として流通されているだけで、一般にはあまり知られていませんでした。しかし、土佐清水でもメジカを一般流通にのせようという話がもちあがり、高知市内を中心に販売展開しています。本鰹の花かつおとは、一味違う風味ですので、ぜひ使い分けをしていただければと思いますね。
この商品は、昨年9月頃から県外にも売り出しをはじめました。宗田節にするか、めじか節にするか迷いましたが、高知らしさを追究するなかで、“めじか節”として全国へ売り出していこうと考えています。

削り節業界の今

削り節業界の今

昔は、高知にもいくつかの削り節工場がありました。しかし、産業面からみて高知はほぼ全滅に近い状態です。私達も長きにあたり、手作業でこなしてきましたが、数十年前に、意を決して削り節の量りなどの大型機械を導入しました。そうすることで、なんとか大量生産化、コストダウン化に結びつけることができました。

厳しい産業ではありますが、天然の上質素材にこだわり、風味と安心安全にこだわり、そしてめじか節のような高知らしさにこだわって、オリジナリティのある商品を提供していきたいと考えています。

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