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土佐食彩物語

和菓子職人物語「地域に季節の移ろいと甘い喜びを届けて」有限会社 桂

銘菓造園 桂

創業44年。高知市旭町の老舗和菓子店、銘菓造園 桂。
夫婦二人で始めた和菓子店は、現在、職人は6名。
日本の四季、土佐の風土を和菓子に託して、地域に笑顔を届けています。

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甘い物に夢を膨らました少年時代から、菓子の道へ。

甘い物に夢を膨らました少年時代から、菓子の道へ。

映画、『エクレール・お菓子放浪記』をご存知でしょうか。これは、お菓子作りに憧れる少年が戦後を必死に生き抜く物語です。私の少年時代は、甘い物が不足して、誰もが甘いものに憧れを抱く、そんな時代に高知県の浜幸さんに就職しました。そこで、「京都へ行かないか」というお話を頂き18歳の時に京都の和菓子店へ就職しました。そこで数年間働いたのち、高知へ戻り今の店を開店させました。

さらにおいしくなった土佐しぐれ

さらにおいしくなった土佐しぐれ

創業当時からの人気菓子「土佐しぐれ」が、2011年秋に生まれ変わりました。鮮やかな緑色の土佐しぐれには、津野町産のお茶の粉末が入っています。以前から、土佐茶の粉末はあったのですが、粒子が粗くて使えませんでした。最近になって、微粒子の土佐茶が出回り、試したところうまく配合できたので、これはいけそうだと思いました。最初はお茶の性質もわからず試行錯誤をしました。もともと、この菓子は、浮島という蒸す菓子なのですが、それをあえて焼いてみたわけです。そうすると、「まあ、美味しいこと」。さらに、あんこを白あんにしてみるとグリーンが鮮やかになりました。お客様も、土佐茶を珍しがって、購入してくれている大変好評をいただいております。

ゆずれない、和菓子づくりの基本「素材」

ゆずれない、和菓子づくりの基本「素材」

和菓子の材料は、昔からほとんど変わりません。米、もち粉、豆類、くず、かんてん。昔から、日本人が食べてきた親しみのあるものばかりです。ほとんど植物性で、唯一動物性は、卵のみ。ベースになる材料に、新しいものはほとんどありません。

余談ですが、もちろん添加物は新しいものがでてきます。今もちもちの、どら焼きなどが流行していますが、あれは添加物で出しています。材料が違うわけではなく、添加物でもちもちにしているのです。

さて、だからこそ組み合わせが重要なポイントになります。その組み合わせから、新しいものを生み出すというところに、和菓子作りの面白さがありますね。

材料は、産地によってずいぶん変わります。例えば、小豆は丹波大納言などを聞かれたこともあると思います。豆は、風味が強いか、軟らかいかなどを吟味します。また炊いた時のつややかさなどが、出来上がりを左右します。この三拍子がそろっているのが丹波大納言なのです。その分値も張りますが味も当然良いですね。
もち粉もピンからキリまであります。このもち粉の見極めが難しいです。見ただけでは、わかりづらいので使ってみて始めて良し悪しを確証します。
材料の良し悪しは、加工するとさらにくっきりと表れます。だからこそ、素材選びは、どうしても妥協できないのです。 また、土佐しぐれや蔵出しのように、高知の素材も積極的に使っています。もち米は、県内の農家から直接仕入れています。「時には猪に食べられて…」などもありますよ(笑)。お互いに信頼関係ができていますので安心しています。

歳時記を綴る、季節を愛でる和菓子のこころ

歳時記を綴る、季節を愛でる和菓子のこころ

四季折々に楽しめるのが和菓子の趣。春は、弥生節句の、もも大福、桜や草餅、五月になると、柏餅。それが終われば涼やかな水菓子が登場します。秋になれば、クリ、芋、柿などが出まわり、そうすると、いよいよお正月。干支に、ちなんだ菓子や、宮中の歌会初めのお題に、ちなんだお菓子などが新春を寿ぎます。和菓子職人としては、「毎年、どんなお題がでるのか?」、来年の干支にちなんだお菓子はどのようなものにするかと考えを巡らしていますね。特に、辰年やヘビ年は難しいですよ。お菓子として表現しづらいですから…。

地酒をたっぷり染み込ませた「吟醸カステラ 蔵出し」

地酒をたっぷり染み込ませた「吟醸カステラ 蔵出し」

桂の代表銘菓、蔵だし。包みを開けると芳醇な吟醸酒の香りに満たされる、酒の国、土佐が生んだ逸品菓子です。 商品誕生のきっかけは、酒造組合の方の人から、「お菓子に日本酒が使えないか」という話があったことです。それでは「やってみよう」と取り組んだのですが、お酒の配合を変えたり、生地の配合を変えたり、これもかなり改良に改良を加えて商品化までにはずいぶん時間がかかりました。この菓子は、焼いてから酒を染みこますのですが、目の粗すぎると酒が抜け、硬すぎると染み込みません。その加減がポイントですね。そのバランスが大変でしたが全国菓子博覧会で受賞を頂くことができました。今では県内外を問わずご注文をいただいております。

四六時中、お菓子のことを考えて

創業44年目を迎えられたことを皆様に感謝しております。私のお店のお客様のほとんどが地域の方です。ですから、今後も地域の材料で美味しいお菓子作りに励みたいと思っております。私は、毎日「どうしたらおいしいお菓子ができるか」考えてやっていますが、まだ理想には出合っていないというのが本音です。その追求を、ずっとやっていきたいと思っています。

四六時中、お菓子のことを考えて

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